都合良く考えてしまう人たち - 愉快なブログたち

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世の中には大変なことがたくさんありますから、ポジティブに生きていかなければいけません。嫌なことが起きても、前向きにとらえる姿勢は大切です。

しかし、前向きにとらえるといっても、「都合良くとらえる」のはあまり感心しません。

これは実際にあった話ですが、仲良くしていた女性どうしが、別れることになりました。片方（A）は寂しくて泣いてしまいました。今度はいつ会えるか分かりませんから、しばしのお別れです。

そのお別れの後で、もう片方（B）の女性が私に言いました。

「Aちゃん泣いてたね〜。あんな風に自分たちのために泣いてくれる人って、なかなか居なくない？」

違いますよね。自分たちのために泣いたわけではなく、Aさん本人が寂しくて泣いただけです。いや、理解できないわけではないです。Bさんとしては、そこまで自分のことを身近に感じてくれていたのかと思ったのでしょう。

しかし現実的に見れば、BがAに依存していただけで、もし本当にい良い関係を築けていたのなら、Bも泣かずにはいられなかった気がしますし、少なくとも自分のために云々など言っていられないでしょう。自分に依存していたAの今後を心配するくらいが妥当でしょう。

前向きにとらえることがプラスに働くのは、あくまで過去や劣悪な環境にとらわれないマインドなのであって、現実を色眼鏡で見てしまうのはむしろマイナスになります。

上記の場合には、BはAが何かを施してくれたような構図で見ていますが、実際にあるべき姿は、BがAに何か手を打ってあげることです。再会の日取りを決めるとか、定期的に連絡を取ってあげるとか。そうすれば、Aも寂しさを感じづらくなるかもしれません。

そのあるべき姿に気づかないのだとしたら、やはり「都合良くとらえる」ことは避けるべきなのです。まあ、本当に依存していたのかは知りませんけどね。

では「都合よくとらえる」のではない、役に立つプラス思考とはどのようなものでしょう。それは先にも言ったように、過去や環境にとらわれなくなる考え方のことです。

私が中学･高校のころは音楽にハマっていまして、鍵盤が弾けないことを悲しんでいたわけです。ピアノを弾ければ、かなり音感が良くなりますからね。幼少期に「ピアノ習ってみる？」と親に聞かれたとき「なんで断っちまったんだ！」と思っていました。ギター、ベース、ドラムは少し練習すればそれなりにはプレイできますが、鍵盤に関しては少しの練習では習得できません。あのときにピアノさえ習っておけば、こんな基礎の練習をしなくてもよかったのに！という感じです。

じゃあその幼少期、ピアノを習う代わりに何をやっていたかといえば、しょっちゅう“フィールドワーク”に出かけていました。家で昆虫図鑑を丸暗記して、その知識をもとに外で自然科学を楽しんでいたわけです。山の近くに住んでいましたから、生物に困ることはありませんでした。

現在の私の中にある知的好奇心は、確実にそのころに基礎ができており、これがなければ今ほど面白くはない生活を送っていると思うのです。好奇心を通して世界を見られるから、今を楽しく生きられています。

そして、音楽が好きだったころの私がやるべきことは、ピアノ教室に通わなかった後悔をすることではなく、手に馴染んでいたギターを練習しながら耳を鍛えることです。むしろ、そうするしか前に進む方法はありません。もちろん、それに気づいてからはしっかりと練習しました。

そうやって本気で音楽に向き合った時間があったからこそ、今でも音楽をわりと専門的な耳で聴くことができます。どのミュージシャンのどんな部分が素晴らしいのか。実際に音楽の生産･表現をやったことがある人とそうでない人とでは聴き方が変わりますからね。

過去のことはもう取り消せませんから、それを「後悔」としてしまうのか、「貴重な経験だった」と割り切るかは自分しだいです。「あのとき別の選択をしていれば…」ではなく、「あのときの自分の選択があるから、今の自分がいるんだ」と、「今このときが一番、そしてもっと良い未来を目指そう」というスタンスでいると、目の前のことに集中できます。

まとめておきましょう。

前向きにとらえるのが大事なのは、あくまで過去や環境にとらわれて生き方がネガティブになることを避けることができるためです。起きたこと=ファクトを都合良くとらえるのは筋が違います。事実を正しく認識してこそ、より良い方向へ進むことができるようになります。

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